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「鮎かつぎ唄」その1 民謡とヤドランカ(2021.3.3
更新)


ヤドランカは昔から伝わる古い歌をアレンジし、現代に蘇らせてきました。
それは彼女の作風のひとつ。

旧ユーゴの国際都市、サラエボで活躍していた頃からそのような作品を作ってきました。
追悼盤「フヴァーラ」に収録されている「アンジョ ANDJO」や
「砂漠のエトランゼ JOVANNO JOVANKE」なども古い歌をリメイクしたもの。

ヤドランカの歌う「鮎かつぎ唄」の元歌は東京、八王子周辺に伝わる民謡です。
ヤドランカの手にかかればこの通り。
民謡がポップスと融合した斬新な一曲に。
坂田美子さんは歌でも参加。

昭和61年7月30日放送のNHKラジオ第一「こんにちはラジオセンター」という番組での
竹内勉氏の解説によると、江戸時代、多摩川で捕れた鮎を八王子・高月から、四谷見附にある鮎宿まで運んだ人足によって歌われた唄とのこと。




https://YouTube/ouhY4FBCm3A

大変貴重な音源だと思います。ご興味ある方はYouTubeでご覧ください。


竹内勉氏によると、傷みやすい川魚の鮎を、人足は籠に約500匹入れ、天秤棒でかついで走ったそうです。午前零時に八王子を出発。明け方から朝には新宿南口あたり甲州街道をこの歌を歌いながら。

江戸時代、新宿あたりの道は自然のままの道。
タヌキがいっぱいいて、人足が運ぶ鮎をタヌキたちが狙っていました。
大声を出すとタヌキが来ないので、鮎かつぎの人足はタヌキ除けのために、この歌を歌ったそう。

当時の付近のひとは鮎かつぎの唄が聴こえると
「朝がきた」
と感じたのだとか。

 ♪ 鮎はナー瀬に棲むヨー 鳥ゃ木のナー枝にヨー
    人はナー情けのヨー 下に住むヨー
      山家そだちのヨー この若鮎もヨー
       江戸にナーエ下りてヨー 酒(ささ)の友ヨ 

ここにある歌詞はヤドランカの民謡部分の歌詞とほんのちょっと違います。
生活の中で生まれた民謡が、耳伝えで人々に広まり、聴く人が書きとったものが、ちょっとずつ違ってゆくのも、口承歌謡でもある民謡の面白さ。

とても興味深いです。

  
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