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「Hvalaフヴァーラ」 アルバムこぼれ話 Vol.2
シュトテネーマ あなたはどこに


   
「Što te nemaシュトテネーマ」
ヤドランカはこの曲を1984年サラエボ冬季五輪のテーマ曲として制作し、歌ったことにより
ユーゴスラヴィア芸術大賞を受賞しました。
旧ユーゴの国民的歌手としての地位をゆるぎないものにした作品です。

「Što te nemaシュトテネーマ」はその後何度も新たにレコーディングされ、
サラエボのラブソングを集めたアルバム「Sevdalinkaセヴダリンカ」(2006年ドイツで発売)に
収録されたものは、イギリスの権威ある音楽誌SONGLiNESでTop of the Worldを獲得。
ヨーロッパでもよく知られています。
ちなみに“セヴダリンカ”というのはラブソングのこと。

このセヴダリンカ盤の「シュトテネーマ」は
喜多直毅さんが弾く、繊細で心をふるわせるようなヴァイオリンの音色、
そして哀しみにそっと寄り添うような鬼怒無月さんの静謐なギターがとても魅力的です。
珠玉の一曲と言えるでしょう。



今回のヤドランカ追悼アルバム「Hvalaフヴァーラ」に収録した「シュトテネーマ」は
アルバム「セヴダリンカ」からではなく、アルバム「ANJO」「サラエボのバラード」からのもの。
セヴダリンカ盤は原盤が外国にあり、権利処理に時間がかかることが予想されたので、
「シュトテネーマ」は日本に原盤のある「ANJO」「サラエボのバラード」盤を収録することに。

ヤドランカ追悼アルバムの日本コロムビアでの制作・発売が正式に決まったのが5月の終り。
7月21日からの「ありがとうヤドランカ展」に間に合わせるため発売日は7月20日に決定。
6月半ばまでに制作の全作業を終わらせなければなりませんでした。
ヤドランカの才能への思いを共有してくださった日本コロムビアをはじめ、
デザインを担当した アサヒ・エディグラフィのスタッフの方々の並々ならぬご尽力、
そしてヤドランカの友人たちや共鳴してくれた音楽仲間の昼夜を問わない協力があって
この追悼アルバム「Hvalaフヴァーラ」は完成しました。
 


「ANJO」「サラエボのバラード」盤の「シュトテネーマ」もまた「セヴダリンカ」盤に劣らず
強く印象に残る作品です。
国吉良一さんのアレンジには多くの民族が共存している古き良き時代の哀愁が漂い
エキゾチックな夜明けのサラエボを感じさせます。
作品は時を経ても尚、輝きを失いません。
シュトテネーマ…昔も今も聴くひとの心を研ぎ澄ませ、静かにさざ波をたててゆきます。



「Što te nemaシュトテネーマ」とは“あなたがいない”という意味です。
邦題は「あなたはどこに」

真珠のような夜露
咲き誇る野の花
太陽の光に輝く泉

愛する人が今ここに居ない哀しみと共に、
古都サラエボの美しい情景がこの歌にはこめられています。

1984年に開催されたサラエボ冬季オリンピック。
やがて来るユーゴスラヴィアの終焉を知ることも無く、国中が歓喜し熱狂の渦にあったあの日。
ヤドランカの歌った「シュトテネーマ」は多くの民族、そしてその文化が
平和に共存していたサラエボそのものでした。

1991年にユーゴスラヴィアで紛争が勃発。
やがて国は崩壊し、多くの人が亡くなりました。
追悼アルバムの曲目解説で友人の音楽評論家、北中正和さんは
旧ユーゴ内戦後はこの歌の「あなたはどこに」という問いかけに深い意味が加わったと
お書きになっています。

2016年5月3日
ヤドランカが亡くなり、彼女を愛する者たちにとっては更にもう一つの意味が加わりました。
ヤドランカ あなたはどこに…。




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